喜界島探索
奄美は名瀬からフェリーで喜界へ。
一晩限りの探索である。夜十時頃に到着し、翌日の明朝にはまたフェリーで逆戻りというかなり無茶な日程。
晴れているのが救いだ。
喜界島到着。
目標はキカイホラアナゴキブリ(Nocticla uenoi kikaiensis)である。
他の国内種に比べ前後翅が著しく退化し、生息環境もまさに「ホラアナ」とされるゴキブリだ。
港から歩く。短時間の上夜間なのでレンタカーなどは一切無い。
道中、サツマゴキブリ(Opisthoplatia orientalis)に出会う。
時期なのか元からなのか、あまり昆虫の姿が見えなかったため少し嬉しい。
ツチゴキブリ(Margattea kumamotonis)かサツマツチゴキブリ(Margattea satsumana)か。
前者だとすると分布的に奄美群島以南亜種のヒメツチゴキブリ(Margattea kumamotonis shirakii)だろうか。
確認出来なかったのが惜しい。
なんやかんやありつつ、洞窟へ到着。
そんなに深い穴でもなく、正直生態系というには頼りない規模だ。
小さな穴に石や礫が転がっている。
転石下を丁寧に探していく。
一時間ほど探し続けた時、小さな白い動くものを見つけた。
キカイホラアナゴキブリだ。
本当に洞穴に生息しているのだという感動が物凄い。
この後、三匹を続けて発見し、結局三時間で四匹を見つけることが出来た。
フェリーの時間の都合上帰路につくことを余儀なくされたが、かなり満足のいく結果であった。
奄美産ホラアナゴキブリ
奄美大島三日目。晴れが続いて過ごしやすいが林道沿いはかなり乾燥してしまっている。
そして例に違わず写真が消えている。撮影して直ぐに確認すればいいのだろうが、フィールドに出ている時はそこまで頭が回っておらず、毎度帰路についてから後悔する。
今回はルリゴキブリ(Eucorydia yasumatsui)とホラアナゴキブリ(Nocticola. sp)の探索が主な目標である。
ルリゴキブリ探しはとにかく林内の立ち枯れを探す。
林道から突き出している立ち枯れを探し、中の空洞にいないかどうかなどを確認しては移動する。
ホラアナゴキブリ探しは朽木を探して林道を走る。
見つけてはひっくり返し、移動しては探すという繰り返しだ。
リュウキュウクチキゴキブリ(Salganea taiwanensis ryukyuanus)やアマミシロアリ()が出てくるため、環境は良さそうだが。
そんなこんなでルリゴキブリとホラアナゴキブリは全く違う環境に生息しているため、正直な話片方に集中した方が絶対に良い……のだがどうしても諦めきれずにフラフラと繰り返してしまった。
そんなこんなで昨日に続いて朽木をひっくり返し続けていると小さくチロチロと走るモノが見えた。
まさかと思い、慎重に眺めてみるとまさしくホラアナゴキブリであった。
結構すばしこく、加えて小さいためピントが合わない。
念入りに探すと更に数匹見つけることが出来た。
落ち着いてから改めて写真を撮る。
成虫と幼虫が一緒に暮らしている。
幼虫は乳白色、成虫は飴色の美麗なゴキブリである。
とても嬉しかった。
……ハッシュタグに困っている。
奄美二日目
奄美大島二日目。
一日目は夜の数時間林道を走っただけなので実質一日目のようなものだ。
幸い天候に恵まれ、良い景色が望めた。
湯湾岳。採集禁止のところも多いのでここでは観察だけ。ただ、タイミングが悪かったのか殆ど生き物は見られなかった。
その後は暫く林道を流す。
花は咲いているが虫はあまり集まっていなかった。
朽木をひっくり返してゴキブリを探す。
アマミサソリモドキ(Typopeltis stimpsonii)
結構な個体数が見られた。
クガビルの仲間
イシムカデの仲間がしゅぱしゅぱ出てくる。
渋い。結構好きなフォルムだ。
アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)
こっちもアオズ?
トビズムカデ(Scolopendra subspinipes)
ムカデの類がかなり多かったがゴキブリは少なく、オガサワラゴキブリ属(Pycnoscelus)とヒメチャバネゴキブリ(Blattella lituricollis)をちらほら見る程度。
その後も散策を続けるが芳しくない。
ギンリョウソウ(Monotropastrum humile)が咲いていた。
夜に見に来ればゴキブリが来るかもしれない。
3月奄美大島遠征
那覇からフェリーに揺られること十三時間、奄美大島は名瀬港に到着。小雨が降る。
那覇七時発だったため、名瀬に着いたのは二十一時。
先に到着していた友人のレンタカーに迎えに来てもらい、早速そのままフィールドへ。
林道を流していると早速大きな影。
アマミイシカワガエル(Odorrana splendida)
奄美大島で初めて会ったカエルがイシカワガエルとはかなり嬉しい。
でっぷり。
一番良いコンディション。
林道脇の草地に雨で水溜まりが点点と出来ていた。
もしや?と思い覗くと案の定。
ヒメハブ(Ovophis okinavensis)
沖縄本島の個体より赤みが強く、鮮やかだ。
近くにはサワガニの仲間もいた。種類は不明。
民家の近くではコワモンゴキブリ(Periplaneta australasiae)。
それにサツマゴキブリ(Opisthoplatia orientalis)か
加えて種類不明のマイマイの仲間。
誰だろう。
流石に到着した当日は休もうということで日付が変わる頃には宿へと向かった。
南大東島の思い出
南大東島二日目。あまりにも虫が見当たらないため完全に採集を休憩して適当に島をブラついていた。その時の記録。
貯水池。大東島は両島海洋島である上、小さく平たい島であるため水源がほぼ無い。故に島中で貯水池が見られる。
種類はわからないが水鳥が集っていた。ただ写真を構えた瞬間に飛び立たれ、シャッターが切られた時にはもういなくなっていた。結構離れているのに凄い視力だ。
沖縄海。
曰く「大東島で唯一沖縄らしい海」だそうだ。どこも切り立った崖である大東諸島において海抜0mでタイドプールが存在する場所は確かにここしかない。降りてみたかったが残念ながら海が荒れていて封鎖されていた。
上から眺めると荒荒しい波で波打ち際は真っ白になっており、確かにこの状態で入ったら瞬く間に持っていかれてしまうだろう。浜が無い海は命を刈り取る姿をしている。
沖縄海傍の道を進むと石碑が見えてくる。
沖縄県最東端の地だそうだ。
晴れていたが風が非常に強く、すぐ下が崖ということもありややスリリング。
因みにすぐ後ろは南大東島空港の滑走路。
写真は消えたが、星野洞も訪ねた。鍾乳洞にしては暑いという印象が強かった。
夜に大東寿司も食べた。非常に美味い。非常に美味いが、魚がなんだったか……。
ダイトウヒラタ
前回の続きだが、画像は無い。
非常に無念。
天候不順により、二泊三日の予定が三泊四日に延びたため、最終日と思っていた三日目に余裕が生まれた。
炎天下の下、入っていない薮を見れば進んで木を探す作業。だがその木自体が少ない。
北大東島に比べれば「森」が存在しているとは言えるが、それでもどうしても乾燥しきっている印象が強い。クワガタ屋の知り合いが言うには湿った、クワガタのいるポイントがまさに点在しているようだ。
そもそも材割の経験がほぼ無く、また気力も無かった自分は基本的に倒木をめくっては手で解してみるという探し方を繰り返す。しかし大抵はオオズアリの仲間が既に侵入している。
畑脇には2m感覚で土が一列に盛り上がっており、どうやらオオズアリのスーパーコロニーが地中に広がっているようだった。歩いた限りだが、2km以上に渡って巣が続いていた。
午後二時頃。一番暑くなってくる時間にへこたれて草陰へ。
落ちている枝を適当にポキポキ負ってダイトウマメクワガタ(Figulus daitoensis)を探していると突然巨大な白い物体が転がり落ちてきた。
ダイトウヒラタ(Dorcus titanus daitoensis)だ。
興奮して写真を撮りまくったが、TG-5でしか撮らなかったために一枚も残っていない。悲しい。
自分の前腕程度の、1mもない枝だったため完全に面食らってしまった。刺激したからか枝の中からアリが大量に出てきており、乾燥もしているし細いしでよく今まで生き残っていたものだと感心してしまった。
その枝含めて周囲を探すも結局追加は無し。その後夕方まで探して一本の巨大な倒木の脇から五頭追加し、終了した。
以上が南大東島採集の記録である。
時間が経っている上、何より画像が消えてしまったのがとても痛い。加えてゴキブリもクワガタも芳しくなかったし、それ以外の生物についてもあまり探しきれなかった。またいずれリベンジに行くだろう。
画像が一切無いのも寂しいので家に帰ってからセットしたダイトウヒラタの画像を。
恐らくもうそろそろ羽化してくるものもいるだろう。楽しみである。