ルリゴキブリ新種記載の話
南西諸島産のルリゴキブリ( Eucorydia .sp)が新種記載された。しかも2種。素晴らしい。
今回新たに新種として記載されたのは、奄美以北(宇治群島家島、吐噶喇列島悪石島、奄美群島奄美大島、徳之島)に分布するアカボシルリゴキブリ(Eucorydia tokaraensis)と与那国島にのみ分布するウスオビルリゴキブリ(Eucorydia donanensis)である。
記載者はゴキブリストとして最近メキメキと名をあげている竜洋昆虫館の柳沢静磨氏、『ダニ・マニア』などで知られる土壌動物学者にしてダニマニアの島野智之教授、そしてミクロレピなど幅広い分野の昆虫を研究しており土壌動物にも詳しい鹿児島大の坂巻祥孝准教授。
詳細や経緯は柳沢静磨氏のブログゴキブリ屋敷 www.gokiburiyasiki.com を読んでもらうとして、後は自分の思うところなどつらつらと。
元元ゴキブリ界隈では「やっぱ奄美−八重山−与那国のルリは違うよね」といった旨の話題はよく上がっており、自分も昨年の三月に奄美大島を訪れた目的の一つにアカボシルリゴキブリの採集があった。結果は奮わなかったわけだが。
静磨氏とはTwitterが元で以前から交流があり、その中でルリゴキブリの話題が度度上がり、やれ宇治群島にもいたぞやれ与那国は明らかに違うぞなど色色と話は聞いていたので今回の件は漸くかー、といった感じであった。
記載した本人がこの感想を見たら助走付けて殴りかかってくるやもしれない。
しかし記載するというのは本当に大変な作業で、まだ自分は記載の経験は無いがそのサンプルを集める作業から文献を集めて差異を確認し、それをまた一つにまとめた上で"証明"するという一連の流れを想像すると目眩がしてしまう。熱量が注ぎ込まれた珠玉のゴキブリとなったはずだ。自分も頑張りたいが持ち前の飽き性が顔を出す。外出できない昨今の風潮に乗って室内作業をメキメキやる年にするつもりだったのだが。
本当は適当な記事を紹介して済ませる予定だったのだが日を経るごとにインターネットでの反響が物凄く、つくづくゴキブリとは良くも悪くも日本人の心を奮わせる虫なのだなあと感じている。それに応じてもう少し確り書くかと書き始めたはいいものの、冷静になると自分は八重山でのルリゴキブリ(Eucorydia yasumatsui)しか採集したことが無かったため、特に語れることは無かった。残念無念。
取り敢えず来年の春前にコロナの波が酷くなっていなければ糞虫やクワガタ、ゴミムシダマシの採集も兼ねて与那国島で採集しようかと青写真を描いている。
兎にも角にも、静磨氏おめでとう!そしてお疲れ様です。
こっちも本島で頑張りますので待っていてください……結構長い期間になりそうだけれど。