ポリプPの飼育日記

ゴキブリを飼っている。

四月やんばるの林道流し

 

四月末のやんばるの記録。

林道流しがメイン。


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アマミトガリナナフシ(Entoria miyakoensis)が既に出ていた。

 


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模様が美しい個体。

 


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近くのソウシジュ(Acaci confusa)にはカレハガの仲間の幼虫。

 


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ちょっと鮮やかめなクビシロノメイガ(Piletocera aegimiusalis)の個体

 


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オオクチキムシ(Allecula fuliginosa)?

沖縄の個体はなんとなく色が違う気がする上、そもそも分布していたか怪しいが結構個体数が多かった。

 

三月は大東諸島奄美大島だと忙しく、また年度始めであまりやんばるに行けていなかったのもあって林道沿いの草葉を眺めるだけで充分楽しい。

ゴキブリも誰かいないだろうかと、道端の落ち葉を掻き分けていると何やら大きな細長いシルエットが飛び出してきた。

すわ、ヘビか?と思い照らしてみると……


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思わず「え?」と、素っ頓狂な声が出てしまった。


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ヤンバルオオムカデ(Scolopendra.sp)

かなり立派な個体。20cm近くあるのではなかろうか。

 

普段沢か、沢沿いの登山道でしか見ないため、シチュエーションとのギャップが凄い。林道のアスファルトの隅に溜まっている落ち葉の下にいた理由は周囲を見渡してもわからなかった。

本調子ではないのか、走っては止まり、走っては止まりを繰り返す。

 


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いい感じに苔むした場所へ誘導してやらせ写真を。

 


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触角先端が天鵞絨の様な質感になっているのがとても美しい。

 

また、探している時と違って何かに夢中になっている時こそ生き物が見られるというのはいつどこであっても決まった定め。

ヤンバルオオムカデを追いかけて道の端端を移動していると色んな生き物が顔を出してきた。

 


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ガラスヒバァ(Amphiesma pryeri)

随分と興奮している。


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舌の先が黒くなっていることを今回初めて知った。

 

一年中見かける彼らもいた。
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ヒメハブ(Ovophis okinavensis)

そこそこ立派な個体。林道沿いの落ち葉や側溝には十中八九いる。

 


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リュウキュウアオヘビ(Cycophiops semicarinatus)

あまりにも元気だったため、申し訳ないと思いつつ掴んで撮らざるを得なかった。

 

ヤンバルオオムカデに気を取られていたが、今こうして写真を整理してみると結構蛇に会えていたようだ。

令和直前のやんばるはかなりお祭りムードであった。

 

国際通りで蛞蝓探し

 

国際通りの方には変なアシヒダナメクジがいるらしい」

 

ゴキブリ仲間から妙なリークを受けたので、梅雨で少し動けていなかったのもあって取り敢えずその夜に向かってみることに。梅雨明けギリギリの七月頭。


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とは言え、それ以外の情報は無い。足で探す。

 

夕方に一雨あったため地面は全体的に濡れており、ナメクジ探しにはそれなりに良い環境だ。
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流石は那覇と言うべきか、在来・外来問わず色色な軟体動物が闊歩している。アジアベッコウの仲間(Macrochlamys.sp)が多い。在来の種類は全くわからず、お手上げである。

 

 

意外なことにオカヤドカリ(Coenobita cavipes)がいた。
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しかも結構大型の個体。

緑がそれなりにあるとはいえ周囲を道路や建物に囲まれた国際通り近くの公園で分布しているとは驚きである。まあ人為的な可能性はかなり高そうだが……。

 

 

その後も国際通りからアクセスしやすい公園を五つほど見繕って真夜中の行脚。しかし、変なアシヒダナメクジどころかそもそものアシヒダナメクジ(Laevicaulis alte)も見当たらない。


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道端でシロアゴガエル(Polypedates leucomystax)が死んでいた。

 

顎に妙な穴が。
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死に方もなんとなく不自然さを感じる。

ふとオオキベリアオゴミムシ(Epomis nigricans)を思い出した。蛙の多い沖縄にも、ニッチが同じ肉食昆虫が生息しているのかも……と妄想が膨らむ。

 

よく考えたらアシヒダナメクジはかなり乾燥している夜に道に出てくる印象もある。夕方の雨は寧ろ悪環境だったのかもしれないし、そもそも時期を外している可能性もある。またリベンジする必要がありそうだ。

 

海岸散策

 

たまには、と東部の海岸を散策。5月の中旬頃だったハズ。

 

目的は

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オキナワシロヘリハンミョウ(Cicindela yuasai okinawense)

 

数はいたものの必死こいて追いかけてもまあTG-5で撮れるわけもなく、網を振るってようやく証拠写真を。

あちらこちらに幼虫の巣穴と思わしきものが見られたが、生憎真昼間だったからか顔を出しているものはいなかった。

 

そしてもう一種。


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……外れ。

 


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また外れ。

 


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非常に分かりにくいが、やっと捉えた。

サンゴミズギワカメムシ(Salduncula decempunctata)だ。

これもまたかなりの数が岩の上を走るのを見られたが、写真になかなか収まってくれない。今度は逆に真昼間だから日陰でじっとしてくれているかと思ったのだが、そんなことお構い無しに縦横無尽に駆け巡っていた。

おまけにTG-5の調子が悪く、連写し続けると後から取り込もうとした時に度度画像が消える。今回は奇跡的に写っている一枚があったのでなんとかなったが、リベンジするには中中暑すぎた。でもまあ時期を改めてまた様子を確認しに行こうと思う。

 

梅雨のやんばる

 

六月末頃、梅雨もあと少しで終わるという時期に都合が空いたのでフィールドへ。

久久の昼やんばる……と思ったのだがとんでもない大雨&濃霧。10分おきくらいにスコール。覚悟はしていたが、やはり生き物の姿は全然見えない。


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見渡すと霧。これでも上が吹き抜けている分、晴れている方だ。沖縄も人の手が入る前はやんばるの山林の結構な割合が雲霧林として廻っていたのだろう。

 

仕方ないので雨でもまだ少しは期待出来る水生昆虫探しにシフトした。

 


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ギンヤンマ系のヤゴ

 


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ゲンゴロウ系の幼虫

 


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いつ見ても珍妙な顔。

 

コガタノゲンゴロウ(Cybister tripunctatus orientalis)やトビイロゲンゴロウ(Cybister sugillatus)くらいはネットインしないものかと粘ってみたが、幼虫は度度入れど成虫はゼロ。

 

場所を変えつつ二時間ほど粘ったが断念。雨も強くなってきたので退散した。

 

 

帰りつつ、風はさほど強くないものの何か面白いものが打ち上げられていないものかと浜辺へ向かった。雨も丁度小雨になってきている。


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雲が厚い。


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リュウキュウフナムシ(Ligia ryukyuensis)は沢山いるが、昆虫の姿はほぼ無し。天気が良ければオキナワシロヘリハンミョウ(Callytron yuasai okinawaense)を見られたのだが。

 


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見られた昆虫はキオビハラナガノメイガ(Tatobotys aurantialis)くらい。

 

波打ち際は気配が薄いので内側の海岸林で適当にアシブトメミズムシ(Nerthra macrothorax)を探す。


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姿は隠していたものの、落ち葉を何枚かめくっていくと下で縮こまっていた。乾燥している時はゴキブリやハサミムシがよく見られる林であるが、雨が吹き込んだらしく彼らはいない。

あちらこちらで縮んでいるので集めて放置しておくとよちよちと、やや慌ただしく歩き出す。ブリキのおもちゃみたいでとても可愛い虫だ。

 

他でゴキブリを探すか、海辺で海浜性の昆虫を探すか……と暫く迷っていたが、天気予報を確認すると三十分ほどで雷雨が来るとの事。

やや不完全燃焼な気持ちを抱えて帰路に着いた。

 

生存報告 2019夏

 

お久しぶりです。

現在長崎の島島を点点としながらダラダラと採集遠征をしておりまして、ポイントの近くで日没を待つ間に写真の整理とブログの更新をば。

 

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写真の整理をしていて気が付きましたが、今回いつにも増して写真を撮っていない。

帰ったら溜まっている写真や今回の遠征を早急にまとめて更新します。

青胸?綾胸?

 

久しぶりに出会った。
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しかし同定方法を忘れた。

 


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細かい。

 


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うー……む。赤みが強いのでアヤムネスジタマムシ(Chrysodema lewisii)じゃないかという気持ちはあるが、不安。

 


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まあなんにせよ美麗だ。普通種で美麗というのはとても贅沢な気がするのだが、結構周囲はスルーしていくので独り占めして写真を撮らせてもらった。

 

発生も長いが、成虫の寿命は如何程か。

 

奄美反省

 

三月の奄美遠征の記録が六月になっても終わっていない体たらく。自分の記録用としてブログを使っているため、困ることも屡屡あるにも関わらず停滞させてしまう。

挙句の果てにはまたもやデータの紛失……。

 

奄美遠征最終日は土砂降りでめぼしいゴキブリや昆虫は出なかったものの、リュウキュウアオヘビ、ヒメハブ、ハブ、アカマタといった蛇やオットンガエル、アマミイシカワガエル、アマミハナサキガエルなどの蛙が大量に見られた。背中に大雨を受けながら大興奮で撮影したのに帰ってきたら全て消えていて非常に落ち込み、まあソレが全ての理由という訳では無いが更新が止まってしまったのだ。

 


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徳之島、加計呂麻島も含め、また行きます。奄美大島

喜界島探索

 

奄美は名瀬からフェリーで喜界へ。


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一晩限りの探索である。夜十時頃に到着し、翌日の明朝にはまたフェリーで逆戻りというかなり無茶な日程。

晴れているのが救いだ。

 


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喜界島到着。

目標はキカイホラアナゴキブリ(Nocticla uenoi kikaiensis)である。

他の国内種に比べ前後翅が著しく退化し、生息環境もまさに「ホラアナ」とされるゴキブリだ。

 

港から歩く。短時間の上夜間なのでレンタカーなどは一切無い。


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道中、サツマゴキブリ(Opisthoplatia orientalis)に出会う。

時期なのか元からなのか、あまり昆虫の姿が見えなかったため少し嬉しい。

 


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ツチゴキブリ(Margattea kumamotonis)かサツマツチゴキブリ(Margattea satsumana)か。

前者だとすると分布的に奄美群島以南亜種のヒメツチゴキブリ(Margattea kumamotonis shirakii)だろうか。

確認出来なかったのが惜しい。

 

なんやかんやありつつ、洞窟へ到着。
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そんなに深い穴でもなく、正直生態系というには頼りない規模だ。


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小さな穴に石や礫が転がっている。

転石下を丁寧に探していく。

 

一時間ほど探し続けた時、小さな白い動くものを見つけた。


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キカイホラアナゴキブリだ。


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本当に洞穴に生息しているのだという感動が物凄い。

 

この後、三匹を続けて発見し、結局三時間で四匹を見つけることが出来た。

フェリーの時間の都合上帰路につくことを余儀なくされたが、かなり満足のいく結果であった。