北大東の夜
ゴキブリ探しは矢張り夜の方がいい。
昼の時点で大体何が占有しているかは察しがつくが。
街頭の類いがほぼ無い。
灯台の光がとても目立つ。
路上でコワモンゴキブリ(Periplaneta australasiae)と遭遇。何かの花を食べていた。
ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)もばっちり遭遇。路上を歩くだけでもあちらこちらで影がチラついていた。
基本的にワモンが多い場所ではコワモンは少ない印象があったが、北大東島では数ならほぼ1:1に近く、民家に対する畑と林の割合が如実に表れているように思えた。
それと、密かに楽しみにしていた彼らにも会えた。
オオヒキガエル(Rhinella marina)
ミヤコヒキガエル(Bufo gargarizans miyakonis)
雨が降った訳でもないのにどちらもよく道に出てきており、特に畑付近では沢山の個体が歩き回っていた。
どちらも外来種ではあるが、なるほどサトウキビ畑の害虫駆除として導入されただけあって非常に環境に適している。在来の小動物がどれだけ減少したかは考えたくない。
生物種としてはとても魅力的だ。ボテボテしたカエルが好きな自分としてはヒキガエルはまさに理想のカエルである。
野外での写真は撮れなかったが、リュウキュウモリゴキブリ(Episymploce sundaica)と思わしきゴキブリも見られた。
意外とサツマゴキブリ(Opisthoplatia orientalis)は見られなかった。
北大東島
沖縄本島から凡そ東に360kmの位置にある、面積12km^2程の珊瑚隆起の島。琉球列島では数少ない有人の海洋島。
海岸が見たことがない風景で新鮮。思えば珊瑚隆起の島を訪れるのは初めてだ。
島は小さく、初日は宿の都合でレンタバイクが借りられなかったので徒歩でなんとかすることに。
基本的に島内はサトウキビ畑が広がる。時期とも思えないが、タイワンツチイナゴ(Patanga succincta)が夥しい数飛び交っていた。
今回の目的は、ゴキブリもそうだが何よりクワガタが大きい。
大東島固有種であるダイトウマメクワガタ(Figulus daitoensis)とダイトウヒラタクワガタ(Dorcus titanus daitoensis)だ。海洋島である大東島ではこの二種以外のクワガタは生息していない。明るくない分野なので詳しくはわからないが、島が隆起したせいで海流分布で侵入した後に重ねて同種が入らなかったためにかなり古いルーツであるようだ。
逆にゴキブリは固有種と呼ばれるものはいない、ということになっている。単純に情報が少ないせいであるかもしれないが。
花に集まる虫に特別見たことの無いものは見当たらない。ただ、膜翅や半翅は特に調べていないのでもしかしたらということもある。そう思って写真に撮っておいた。
取り敢えずクワガタでもゴキブリでも、日中に探すのであれば朽木をひっくり返すのが定石だろう。
森と呼べるような場所は見つからず、畑の周りにある林の隅で朽木を見る。
……?
恐ろしく呆気なく幼虫が出てきた。
ダイトウマメクワガタだろう。
ヒラタより数は多いと聞いていたが、こんなにあっさり出てくるとは。
四頭追加出来た。
また、木の中からはコワモンゴキブリ(Periplaneta australasiae)も複数出てきた。ただ、素早すぎて写真が撮れなかったので画像は脱皮殻。
近くの木に貼り付けられた卵鞘。
自然界ではこういう所に隠れ、産み付ける。当たり前の事だが害虫として扱われるのはこの生活スタイルが人間の居住区によく合っていたからである。外で害虫種を見る度に思うことではあるが、ただ大東島では明らかに外来種なので複雑な気分。
外来種と言えば大東島にはオオヒキガエル(Rhinella marina)とミヤコヒキガエル(Bufo gargarizans miyakonis)が定着しているのは有名な話。
畑の近くではあちらこちらで煎餅になっていた。
シロアリ有翅虫
昼に突然湧くようにシロアリの有翅虫が飛んできた。
オキナワシロアリ(Reticulitermes speratus okinawanus) だろうか?
夕方に再び取りに行こうかと思ったが、突如大雨に見舞われたため断念した。