青&青
最近は一気に寒くなり、やんばるでも夜は15℃程度にもなるようになった。
長雨を抜けて昼がとても暖かい日が来たので、大急ぎで北部へ。目的はカエルとヘビ。
街灯を見つつ山へ向かう。飛んできている虫は想像していたより少ない。
山に着くと早早にイボイモリ(Echinotriton andersoni)と遭遇。久しぶり。
泥を被った個体も。
見返して気がついたが、アングルがほぼ一緒である。折角なんだから正面も撮っておけばよかった。
コシビロダンゴムシの仲間も多数。
紋が橙色でとても美しい。
これは違う種類?雰囲気が違うが、どうなのだろう。
飼育したいが、今一つ適した環境がわからない。
オオゲジ(Thereuopoda clunifera)
ぶら下がっているのを見て初めて気がついたが、掴む脚と離す脚を交互に動かして歩いていた。ゆっくりと移動する時だけなのか?機械を思わせる挙動に不思議な感覚を受けた。
そう言えばゲジの仲間は美味しいと聞く。平坂寛氏曰く、「里芋風味」。蟲喰ロトワ氏曰く、「芋のような甘い香りとやさしい甘み、エビに負けない強い旨み」だそうだ。詳しくは以下のリンク。
平坂寛氏
蟲喰ロトワ氏
平坂氏は焼き、蟲喰ロトワ氏は茹でのようだったので機会があればどちらも試して見たい。
転石下にはオキナワアギトアリ(Odontomachus kuroiwae)。
非常に格好良いアリだが、森林性であり切り株の真下などに巣を作る習性からあまり人目に付くことはない。警戒心も強いため、本当は歩いている姿を撮りたかったのだが時間の関係上一旦捕まえてから撮らせてもらった。いつか飼育してみたいアリの一つ。
そう言えば世界最速の動きをする動物がアギトアリの一種からドラキュラアント(Mystrium camillae)に更新されたとかなんとか。
"Snap-jaw morphology is specialized for high-speed power amplification in the Dracula ant, Mystrium camillae"
https://royalsocietypublishing.org/doi/full/10.1098/rsos.181447
さてさて、そんなこんなで沢に到着。今回の目的であるカエルを探す。
イシカワガエル(Odorrana ishikawae)。
小さい個体が本当に多い。来る度に見るので段段と有難みが薄れてきてしまった。沢を登れば大きい個体もいるのだが、残念ながら今回は装備が無い。
実はこれ、壁に張り付いている状態。
ほぼ垂直な崖のような場所を上から撮影したのだが、思ったより平面感が出てなんだか楽しい。遠近感も何となく狂う。色んな意味で矢張り実際に見るのと写真とでは全然違うことを実感。
また、付近の枝にハナサキガエル(Odorrana narina)。
3cm程の可愛らしい個体。
ハナサキガエルは背中の色の変異が激しく、一面緑だったり土色地に茶色の斑紋があったりと見ていて楽しい。
この個体は青い斑点が入る、俗に言う「青ハナサキ」という個体。この場所はイシカワガエルもハナサキガエルも青い個体が多いらしい。
葉にはヒメツチゴキブリ(Margattea kumamotonis shirakii)。少し自信はないが。
この写真、中中美麗な魅力を引き出したとお気に入りである。大抵は小さいため光や焦点を工夫している間に逃げられてしまうのだが、寒さからか緩慢になっていたようだ。
ヘビは見られなかったがカエル含め見たかった生き物はそれなりに見られたので下山。
下る途中に大きな音がしたので振り向くと、青ハナサキが。
さっきの個体より青の面積が大きく、加えて鮮やかな緑も混ざって非常に綺麗。
それに
結構大きい。指との位置が少し変だったせいで小さく見えるが、6cm位はある。ハナサキガエルとしてはまずまずの大きさだ。
帰りに良いものを見られたので満足。そう思いながら帰ると、本当に最後の最後、登山口入口でイシカワガエルにも遭遇。
抜けるような爽やかな水色。体長も二回りほど大きく、4cm近くある。こんなに明るい青イシカワは初めて見た。
実は今回は久久のやんばるに僅かな時間を見つけて青イシカワを見に来た、という方と一緒の散策であったのだがその方が豪運と噂される人物であった。自分は初めてお会いしたのだが……本当に運というのは人によって様様だと、フィールドに出れば出るほど信じたくないが思えてしまう。見る場所が変わってくるというのも勿論あるのだろうけれど……。