久久の高尾
凡そ一年ぶりに高尾山へと赴いた。
夜まで用事があった為、到着時点で既に23:00。駅には殆ど人はいない。
勿論ケーブルカーが動いているわけも無いので一号路から登っていく。
写真では全く写らなかったが、実はほぼ満月であり、開けた所なら無灯火でも足元が分かるくらい明るい。逆に灯火採集でこの条件はかなり厳しいと言える。
先ず始めに狙うのはヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)。彼らは山道沿いの湿った木の洞の中や幹の上を歩いている事が多い。
今回も容易く捕れる……と思いきや、何故か全く姿を見かけない。
やっと幹に動く影を発見!
と思ったら
マダラカマドウマ(Diestrammena japanica)
この幹だけで六匹確認した。何を狙っているのだろう。
幹で見かける生き物は専らマダラカマドウマとサワガニ(Geothelphusa dehaani)である。湿度と温度は申し分ないという証拠でもあるのに、しかしゴキブリの姿はない。
その後見かけた昆虫をダイジェスト気味に紹介する。
ウスバカミキリ (Megopis sinica)
最も個体数が多かった。
ノコギリカミキリ(Prionus insularis)
交尾したまま逃げていったため、確りと確認は出来ていない。もしかするとニセノコギリカミキリ(Prionus sejunctus)かもしれないが、もうこの写真では判別しようがない。
コノシタウマ(Diestrammena elegantissima)
心做しか、頂上に近づくにつれ増えるように思える。麓には殆どいない。
クワカミキリ(Apriona japonica)
二匹だけ見かけた。平地のカミキリだと思っていたが、案外山の方が多いのかもしれない。
カブトムシ(Allomyrina dichotoma)
どこからどうやって入ったのか甚だ疑問。因みにこの個体はかなり立派な雄。この後蓋を外して逃がした。
段段と「色んな昆虫の観察」に行動がシフトし始めた頃、漸くお目当てのムシに出会えた。
ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)
大きめなナナフシモドキ(Baculum irregulariterdentatum )とツーショット。
どこも欠けていない綺麗な雌成虫だったので捕獲。
この後すぐに幹を歩く幼虫も発見。
最終的に雌成虫だけを三匹捕まえた。
雄成虫は一匹も見かけていない。これは去年も、一昨年も同様で、ヤマトゴキブリの雄成虫は他のPeriplaneta属の雄に比べると数が少ない印象を受ける。
飼育下に置いても雌の割合が高いので、恐らくこの種に共通する特徴なのだろう。
三時間ほど歩いて一先ず終了。
登ってみると案外採集者がおり、一時間で7、8人ほどとすれ違った。ヨコヤマヒゲナガカミキリ(Dolichoprosopus yokoyamai)狙いの人が多く、採集できたという方に生体を見せてもらった。
当たり前の話だが図鑑や標本で見た姿と同じであり、正直な所、あくまでも見た目に限れば特別このカミキリが優遇される理由はあまり感じられなかった。(これを読んだカミキリ好きの方が気分を害されたら申し訳ない)
ただ、採集出来た喜びや興奮を隠さずに語る気持ちは、採集者として非常に理解できる。
そもそもゴキブリを捕まえてニヤニヤするような変人が何を言うのかという話であるけれど。
因みにこの後帰路で無事オオゴキブリ(Panesthia angustipennis)も採集出来た。
ただ、喜びのあまりその時に写真を撮るのをすっかり失念してしまっていた為、彼らの紹介はまた後日。
他にも少し気になった虫を採集してきたので、それも後日更新します。
午前三時前に下山すると、流石に駅の電気は消えていた。