虹色のムシ
キラリ光る顔。
ヤマトタマムシ(Chrysochroa fulgidissima)だ。
昼に低空をフラフラと飛んでいる所を捕まえた。
タマムシは褥盤が発達している為、ツルツルとしたプラスチックの壁面も登ることが出来る。ゴキブリにも壁を登るものは多いが、その多くは爪間盤といってやや位置が違う。
この個体はどうやら雌らしく、体が重いのかあまり登るのは上手ではないようだった。
タマムシは他の虫に比べ圧倒的に力が弱いように思える。鉤爪を立てることもなく掴めばあえなく捕獲され、飛ぶのもそんなに上手ではなく、勿論角や針は持っていない。
そんな彼らが然し自然界で生き延びているのは矢張りこの虹色の光沢のお陰であろう。
その特徴的な姿はいつ見ても心奪われる。
井伏鱒二の『玉虫を見る』の主人公が、この虫を特別視したのも頷ける。