師走のやんばるロード
夕方、北部に用事があって出かけたため、そのまま林道を流した。
風が無く十二月にしては暖かい日だったので蛇が出そうだ。
山道を登り始めて早早、道端にポツポツと影。
オキナワアオガエル(Rhacophorus viridis)
繁殖期だ。耳を澄ませると、奥に川や池があるのだろう、鳴き声が響いてくる。
上の大きな個体が雌。下の小さな個体が雄。雄は大きく黄色い、とても特徴的な手をしている。
これはやらせ写真。
同行者がやらせアオガエルを撮っている間、他にもいるだろうと辺りを見回していたらハブ(Protobothrops flavoviridis)が出た。
非常に小さな個体。というか非常に細い個体。
実は十月から二週間に一頭ほどのペースでハブに出会っており、周りの生き物屋に何かと妬まれている。嬉しくなくはないが、本命の虫は乏しい。
しかしまあここまで細い個体は今まで見たことがなく、却って珍しかろうと少し張り切っていると今度はヒメハブ(Ovophis okinavensis)が。
道の脇に積もった落ち葉に座しており、危うく踏むところだった。
そしてこの個体も小さい。
顔が五百円玉より小さい。
モンスターハンターシリーズでこんな感じのイベントクエストが屡屡あった気がする。
アオガエル、ハブ、ヒメハブ、アオガエル、ハブ……と路上でやたらめったらに動き回る羽目になった。アオガエルは側溝や壁沿いにも張り付いており、求愛をしている彼らを食べに蛇たちが集まっているのだろう。何の変哲もない林道のカーブだが、上から水が流れてきているため妙なホットスポットになっているようだ。
彼らに別れを告げ、少し道を登るとまた蛇の影。
ガラスヒバァ(Amphiesma pryeri)が轢かれていた。
この時点ではまだ息があり、触れると必死に抵抗する。だが頭を打ち砕かれているようで、もう長くないのは明らか。虚しい気持ちになった。
アスファルトの上よりかは土の上がいいだろうと移動した先にはイボイモリ(Echinotriton andersoni)。
複雑な気持ちになったが、この道がなければ自分達もこんな気軽に生き物を探しに来られないのも事実。
折り合いはつけられないが割り切るより他無し。
尚、虫はタイワントビナナフシ(Sipyloidea sipylus)を一個体見たのみであった。