毛深い
昼過ぎに傘を忘れて走っていると、雨に濡れる地面に茶色い物体が落ちていた。
取り敢えず拾ってそそくさと屋根の下へ。
残念ながら直前に誰かに踏まれたようで、辛うじて息はあるものの風前の灯火。
可愛らしい顔。前胸は割れてしまっている。
そしてこの特徴的な腹面。
ケブカコフキコガネ(Tricholontha papagena)の雌だ。
十二月から発生とはいえ、まだ上旬な上にここ数日は蒸し暑いと言っても過言ではない状況だったのに出てきてしまったようだ。
長い毛。目もかなり大きくてクリクリしている。
実は初めて出会った。初めてが踏まれてしまった個体というのは少し悲しいが、嬉しい。中南部の、しかも人が多いような環境での雌は非常に珍しいそうだ。
しかし種小名の papagena とはなんなのだろう。あの『魔笛』のパパゲーノなのだろうか、と考え込んでしまった。どなたかご存知であれば教えて下さい。