鳥兜
尾瀬の標高1000mを少し超えた辺りで遠目に紫色の花を確認。
近寄ってみるとトリカブトであった。
全長100cmを超える高い茎の先端には連なる紫色の花。
ミヤマトリカブト(Aconitum nipponicum)だろうか?
まさに「兜」である。
英名では「MONKSHOOD」と呼ぶように、どこでも矢張りこの形は被り物に見えるようだ。
日本三大毒草として有名なように全草に有毒成分を含んでいる。世界の狩猟毒の歴史を調べると北半球の殆どの文化で用いられる程にポピュラで強力な毒だ。
よくニリンソウ(Anemone flaccida)やヨモギ(Artemisia indica)との誤食が注意喚起されている。実際に周囲には多くのヨモギ……オオヨモギ(Artemisia montana)?と思わしき植物が大量に生えていた。
これがトリカブトの葉。
裏は光沢のある、つるつるとした見た目。
こちらはヨモギ。
葉の裏には白い微毛が密集しており、まさにふさふさとした印象。
この時期に見ると表面も全然違う上にそもそも花が咲いているので間違えることは無かろうが、春〜初夏のどちらも草丈の低い時期は流れで摘んで混入してしまうかもしれない。
「葉の裏が白くない」「ヨモギ臭がしない」などから簡単に判別出来るだろうが、念の為この時期に花をよく見かける地帯では野草を取らないのが得策だろう。
トリカブトは非常に辛いらしいが、そこで漸く判明するような事態は勘弁被る。