第二の分解者
以前、ゴキブリ用に置いておいたホダ木に青黴らしきモノがへばりついているのを見ていた。
その時は特に何も考えることもなく使った気がするのだが、もしかしたら黴が生えていた方がゴキブリには良いのではないかと思えてきた。
野外にいるゴキブリは屡屡「分解者」という役割で紹介されるが、消化によって無機物まで持っていく訳では無いので正確には違う。ただ、その手助けをしていることは間違いがない。
その時の真の分解者は微生物と呼ばれる生物達。特に黴を始めとする菌類が多い。
その為、朽木には黴が蔓延っているような環境の方がより自然界に近いのではなかろうかという訳である。
そこで早速朽木に黴を生やしてみた。
「生やしてみた」等とまるで頑張って黴を誘致しましたかのように振舞っているが、なんてことは無い、ただ水を吸わせた後に日陰で放置していただけだ。
裏もしっかりと黴ている。
流石に内部までは達していないだろうが、上下ともに確りと侵食されている様子は確認出来る。
パッと見ると乾燥しているかのように見えるが、持ってみるとかなり水分が含まれていることがわかる。試しに霧吹きで湿らせてみると、切ったばかりの朽木はみるみるうちに水が吸い込まれていくのに対してこちらは全然吸い込まない。黴の胞子がヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)の胞子同様水を弾いており、更に黴の層がそれ以上浸透することを阻んでいる。
この現象が内部から蒸発しようとする水にも働いているのだろう。
四日ほど放置した朽木をゴキブリに投入してみる。
実験の対象はヤエヤマオオゴキブリ(Panesthia angustipennis yayeyamensis)。
実験とは言ってもただ埋めるだけだ。後は全体を湿らせて定期的に確認するだけ。
念の為実験カテゴリに入れるが、対象実験も期間も決めていないので実際はタダの暇つぶしである。