鸇と両爬
冬のやんばる。今年はあのムシの裏年であるため、あまり訪れていなかった。
一応見回りに。
イボイモリ(Echinotriton andersoni)
活動時期では無いと思うのだが、不思議とこのポイントでは十二月から一月にかけての冬の入りによく見かける。
頭のサイズが五百円玉ほどある大柄な個体。
他にも
クロイワトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae)
アカマタ(Lycodon semicarinatus)
更にもう一頭イボイモリに出会い、道の先はリュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica)やヒメアマガエル(Microhyla okinavensis)にも出会うなど、かなり両爬が充実していた。
しかし昆虫の姿が薄く、まあ仕方ないかと帰路に着いていると樹上から大きな音がバサバサと響いてきた。
コウモリがいるのか?とライトで探してみると音源が次第に近づいてくる。
忙しなくあちらこちらを見渡すと遂に音の主が姿を見せた。
サシバ(Butastur indicus)
沖縄では留鳥のサシバだが、夜に、しかもこんなに近くで見たのは初めてだ。
照らされて焦ったのか、堕ちて焦ったのか、眠りについて冷えていた体を上手く動かせないようで更に降りてくる。
不安定な足場で更に慌てるサシバ。
どうしたものかと思いつつ、中中近くで見られないとも思いそのまま観察していたら
遂に地面に。
大慌てだ。
威嚇
ごめんねと思いつつ折角なので撮る。
暫く観察していたら温まったのか漸く飛び上がれた。
口が半開きのままだったが。
虫はいなかったものの珍しいものが見られたので、ヨシ。
冬は冬で面白い。
2020年初むし社
新年早早、むし社へ。
実は移転してからはまだ訪れておらず、今回が初。
のんびり電車に乗って高円寺へ。
久しぶりのむし社だ。一年以上来ていないと思う。
エレベーターを降りて廊下を歩くと何やらガムテープで線が引かれていた。
どうやら遅すぎたようだ。廊下の線は開店30分前から並ぶ人のために引いたらしいが、それでも用意した240袋が瞬く間に無くなっていったとのこと。
忘年会なども出られずじまいだったので今年こそはぜひ沖縄で一緒に……と約束をして後にした。高円寺駅に着いた時に漸く気が付いたのだが、福袋を買うつもりで来たためそのまま何も買わずに出て来てしまった。新年早早冷やかして申し訳ない気持ち。
NewYear 2020
あけましておめでとうございます。
2020年は極力更新頻度を上げていきたい……と、毎年正月に書いている気がする。書くことは結構あるのだが。
尻尾しか見えないが、去年の秋に出会ったケナガネズミ(Diplothrix legata)の写真を。
沖縄島のゴキブリ目録
・沖縄島
面積 1,206.99㎢
最高標高 503m (与那覇岳)
沖縄県最大の島であり、26の市町村と129万人の人口を抱える中心地。北部はがメインの酸性土壌で、400m級の山が連なり平地は少ない。やんばると呼ばれる固有の生態系が見られる。中南部は主に琉球石灰岩と泥岩で構成されており、ドリーネやウバーレ、鍾乳洞が多く見られる。
渡島記録
2018.4より在住中
ゴキブリ科 Blattidae
ゴキブリ亜科 Blattinae
ゴキブリ属 Periplaneta Burmeister, 1838
ワモンゴキブリ Periplaneta americana ( L.1758 )
島内どこでも見られる。特に市街地に多い。時期は特に無く、年中見られる。
コワモンゴキブリ Periplaneta australasiae ( Fabricius, 1775 )
島内どこでも見られる。公園や畑、山の麓など比較的緑の多い場所で見られる。
トビイロゴキブリ Periplaneta brunnea Burmeister, 1838
未確認。個体数が非常に少ないと聞く。
クロゴキブリ Periplaneta fuliginosa ( Serville, 1839 )
未確認。
ウルシゴキブリ Periplaneta japanna Asahina, 1969
基本的に北部の山地で見られる。成虫は梅雨前から夏にかけて多い。
イエゴキブリ属 Neostylopyga Shelford, 1911
イエゴキブリ Neostylopyga rhombifolia ( Stoll, 1813 )
未確認。個体数が非常に少ないと聞く。
チャバネゴキブリ科 Ectobiidae
ヒメゴキブリ亜科 Pseudophyllodromiinae
チャオビゴキブリ属 Supella Shelford, 1911
チャオビゴキブリ Supella longipalpa ( Fabricius, 1798 )
未確認。外来種で偶産の可能性が高い。
ウスヒラタゴキブリ属 Shelfordina Hebard, 1929
ウスヒラタゴキブリ Shelfordina pallidiola ( Shiraki, 1906 )
島内どこでも見られる。成虫は夜間に草の上を徘徊している姿を頻繁に見かける。幼虫は枯れ枝の葉の隙間などに多い。
ヒラタゴキブリ属 Balta Tepper, 1893
アミメヒラタゴキブリ Balta notulata ( Stål, 1860 )
島内どこでも見られる。やや人工物が多い場所を好む傾向がある。
ミナミヒラタゴキブリ Balta vilis ( Burmeister von Wattenwyl, 1865 )
島内どこでも見られる。乾燥気味の公園などに多い印象。
ツチゴキブリ属 Margattea Shelford, 1911
ツチゴキブリ奄美群島以南亜種 Margattea kumamotonis shirakii ( Princis, 1969 )
ヒメツチゴキブリ。北部の草地付近の林でよく見る。
サツマツチゴキブリ Margattea satsumana ( Asahina, 1979 )
ヒメツチゴキブリとほぼ同じ。住み分けがよくわからない。
チャバネゴキブリ亜科 Blattellinae
チビゴキブリ属 Anaplectella Hanitsch, 1928
チビゴキブリ Anaplectella ruficollis ( Karny, 1915 )
詳細不明。北部の山地で地表を徘徊している姿を見かける。
フタテンコバネゴキブリ属 Lobopterella Princis, 1957
フタテンコバネゴキブリ Lobopterella dimidiatipes ( Bolívar, 1890 )
島内どこでも見られる。荒地など乾燥した地表部の瓦礫下に多い。
モリゴキブリ属 Symploce Hebard, 1916
オオモリゴキブリ奄美・沖縄亜種 Symploce gigas okinawana Asahina, 1979
ホソモリゴキブリ属 Episymploce Bey-Bienko, 1950
リュウキュウモリゴキブリ Episymploce sundaica ( Hebard, 1929 )
チャバネゴキブリ属 Blattela Caudell, 1903
チャバネゴキブリ Blattela germanica ( L. 1767 )
オキナワチャバネゴキブリ Blattela nipponica Asahina, 1964
ヒメチャバネゴキブリ Blattela lituricollis ( Walker, 1868 )
オオゴキブリ科 Blaberidae
マダラゴキブリ亜科 Epilamprinae
マダラゴキブリ属 Rhabdoblatta Kirby, 1903
マダラゴキブリ Rhabdoblatta guttigera ( Shiraki, 1906 )
サツマゴキブリ属 Opisthoplatia Burmeister von Wattenwyl, 1865
サツマゴキブリ Opisthoplatia orientalis ( Burmeister, 1838 )
ハイイロゴキブリ亜科 Oxyhaloinae
ハイイロゴキブリ属 Nauphoeta Burmeiste, 1838
ハイイロゴキブリ Nauphoeta cinerea ( Olivier, 1789 )
オオゴキブリ亜科 Panesthiinae
クチキゴキブリ属 Salganea Stål, 1877
タイワンクチキゴキブリ琉球亜種 Salganea taiwanensis ryukyuanus Asahina, 1988
マルゴキブリ亜科 Perisphaerinae
マルゴキブリ属 Trichoblatta Burmeister von Wattenwyl, 1865
ヒメマルゴキブリ Trichoblatta pygmaea ( Karny, 1915 )
オガサワラゴキブリ亜科 Pycnoscelinae
オガサワラゴキブリ属 Pycnoscelus Scudder, 1862
オガサワラゴキブリ Pycnoscelus surinamensis ( L. 1758 )
リュウキュウゴキブリ Pycnoscelus indicus ( Fabricius, 1758 )
ムカシゴキブリ科 Corydiidae
ツチカメゴキブリ亜科 Holocomasinae
ツチカメゴキブリ属 Holocompsa Burmeister, 1838
ツチカメゴキブリ Holocompsa debilis Walker, 1868
ホラアナゴキブリ科 Nocticolidae
ホラアナゴキブリ属 Nocticola Bolívar, 1892
ホラアナゴキブリ Nocticola uenoi Asahina, 1974
参考文献
・東清二ほか, 2002, 増補改訂 沖縄生物学会編琉球列島産昆虫目録, 榕樹書林
・町田龍一郎ほか, 2016, 日本産直市類標準図鑑, 学研プラス
最終更新 2019.10.24
インセクトフェア2019
まさかの当日更新になってしまった。
今日、9月23日に大手町インセクトフェアに出店します。
今回のメインは殆ど標本で、ゴキブリは三種程度。
ジャイアントウッドローチ(Archimandrita tesselata)
幼虫三匹セット
アトロポスドクロゴキブリ(Blaberus atropus)
幼虫五匹セット
オオゴキブリ(Panesthia angustipennis)
です。今回生体はかなり数が少ないです。
他にはダイコクコガネ(Copris ochus)を持っていきます。
標本は沖縄の甲虫中心に対馬などの昆虫も持っていきますので、良ければ見ていってください。
もっと予め言っておかなければいけなかったのに、完全に忘れていました。大失敗。
伊江島へ
六月末。
土日を利用して本部半島から直ぐ近くの伊江島へ行ってきた。
昼過ぎに家を出て夕方五時の便。
フェリーいえじま。毎日四便出航し、片道三十分。
今回は特に荷物も多くないので原付でそのまま乗り込んだが、その輸送も含めて往復三千円に満たない非常に気軽に行ける島だ。
本部半島と瀬底島を繋ぐ瀬底大橋をくぐる。既に向こう側には伊江島の城山が見えている。
特に問題もなく、甲板で海を眺めていたら到着。最近のフェリーが奄美大島や南北大東島と長距離ばかりだったのでたまにはこういうのを挟まなくては。
フェリーを降りたらまずはキャンプ場へ向かい、テントを張って荷物を降ろす。今回は二泊なのでテント泊で充分だ。何もかもが気楽な遠征である。
まず向かうは城山。島の中心やや東側に位置する巨大な岩山は、平坦な島内のどこを走っても基本的に目につく。世界で伊江島でしか確認されていないオフスクレープ現象によって生じた山があると十年ほど前に耳にし、なんとなく気になっていたので実際に目の当たりにして結構感動した。
登ると文字通り島を一望できる。
夕暮れの島。
尚、途中からかなり急勾配になる上に風が常に吹いているため意外と怖い。山頂は清清しかったが、狭いのもあって日没を見たらそそくさと退散した。
城山中腹の展望台から紅に染まる空を。
反対側からは静かに闇が近付いてきている。
そして漸く求めている生き物の活動する時刻でもある。
展望台でダラダラと虫を探しながら完全に日が落ちるのを待つ。
キスジサシガメ(Peirates atromaculatus)
オキナワハラアカサシガメ(Scadra okinawensis)
トガリナナフシの1種
クビキリギス(Euconocephalus thunbergi)かオガサワラクビキリギス(Euconocephalus pallides)か……。直翅は全くわからないが、前者な気がする。なんとなく。
雨は降らずとも梅雨時だからか虫はそれなりに多い。
何もわからない写真。
取り敢えず一日目はテント泊なのでキャンプ場に行ってコンビニの位置を把握するに留めた。体力温存。
本当はコンビニでライト採集するつもりだったが拍子抜けするほど何もいなかった。