GW渡嘉敷 二〜三日目
一日目の様子はコチラ
一日目は飛ばしすぎたのか疲弊が激しく、そもそも優れなかった体調が輪をかけて悪化した。
故にほぼフィールドに出ていない。
散歩するにも暑すぎるので日の昇るあいだは専ら羽ばたく蝶や鳥をボンヤリと眺めていた。
キャンプ場で食パンを奪って食べるカラス。
チョウやコガネムシの仲間は色色いたのだが勉強不足故に誰なのかわからず、写真にも撮っていない始末。
折角来たのだからと展望台に登ったり浜辺を歩いたりした写真はある。
コバルトブルーの、波の穏やかな海。
観光地らしいスポット。
また別の海。森も様様な植物で構成されていることがわかる。中央に写るうねった部分は川だろうか。叶うならばそこで観察をしたかった。
夕日に沈む慶良間諸島。
海の向こうにもいつの日か足を踏み入れたい。
景色ばかりで虫の写真が一つも無いのは寂しいという事で、申し訳ないが帰った後に改めて撮影したリュウキュウクチキゴキブリ(Salganea taiwanensis ryukyuanus)。
成体は二匹で残りは幼体。
成体。野外品はほぼ全てが翅が千切れているのは他のオオゴキブリやクチキゴキブリと変わらない。
幼体は赤みが強い。これは多種と比べても特徴的だと思う。タイワンクチキゴキブリ(Salganea taiwanensis taiwanensis)はどうだったか。確証が無いのであまり強くは言えないが、ここまで赤くは無かったと思う。
今後改めて採集して比較したい。
かと思えば結構黒い個体もいる。難しい。
もう少し時間をかけて観察する必要があるが、今のところ赤い個体の方が多いのでそっちを基準にしようかと思う。脱皮からの時間経過とも違いそうだが。
これは深度合成にチャレンジして失敗した写真。
しきりに周囲を気にしている為、止まっていても触角は常に動いている。冷やすか、二酸化炭素で麻痺させないと綺麗な写真を撮るのは難しそうだ。
GW渡嘉敷 一日目
泊港からフェリーに揺られること二時間。
沖縄は渡嘉敷島。
晴天である(26℃)
もしかすると沖縄に来てはじめて海を訪れたかもしれない。
抜けるような、という表現がどのような色を指すのかはわからないがなんとなく「抜けるような青」と言いたくなる海。
今回はGWの前半三日間をここ渡嘉敷で過ごす。
正直そこまで目的の虫はいないが、まあマダラゴキブリ(Rhabdoblatta guttigera)などが捕れれば良いだろう。
昼は特にすることも無いので近くの海岸に降りてみる。
「夏」感。
実際潜るには充分な陽射しと温度だが、一切の装備が無いので海には入らない。
海岸にハマダンゴムシ(Tylidae granulatus)がいないか探してみるも、珊瑚の厚く、希望は薄そうである。
砂浜の際にはアダン(Pandanus odoratissimus)が実を付けている。
だがそんなに熟していないようで虫は全く集まっていない。夜になればヤシガニ(Birgus latro)などが見られるだろうか。
見に来たい気持ちもあるが今晩はゴキブリ採集に出る予定なのでまた今度。
すぐ横の磯にはケブカガニ(Pilumnus vespertilio)。名の通り毛深い。
岩の隙間でジッとされると本当に見つけられない。
その他ハゼの仲間などを見ながらブラブラして浜は終わり。
夜は沢にゴキブリ探し。
開幕数分でモモタマナ(Terminalia catappa)の木に付いたヒメマルゴキブリ(Trichoblatta pygmaea)の幼虫を発見したが、取り逃した上に写真も上手く撮れなかった。悔やまれる。
沢を下ってヤンバルオオムカデなどを見ていくと、ようやく目的の種に遭遇した。
マダラゴキブリ( Rhabdoblatta guttigera)
綺麗なスレの無い成虫。
この後幼虫も数匹見かけた。
リュウキュウクチキゴキブリ(Salganea taiwanensis ryukyuanus)のコロニーも朽木の裏で見つけたのだが、興奮しすぎて写真に収めるのを失念していた。
後日、飼育写真を載せる。
岩の上で休むケラマトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae orientalis)
光を当てすぎて瞳孔が完全に細くなってしまった。
今日はこの辺で終わり。
Snakes in Northern Okinawa
四月の夜のヤンバルに行ってきた。
はい邪神。
前の晩に土砂降りの雨で昼は快晴、そのままあまり気温が下がらずに夜という非常に両生類にとって好ましいコンディション。つまりそれらを捕食するヘビも多いという事。
山の方に進めばすぐに路上に跳ねる影。
ヒメアマガエル(Microhyla okinavensis)
非常に鈍感で、触れるまで逃げようともしない個体が多かった。
ハロウェルアマガエル(Hyla hallowellii)
鳴嚢が破れそうなほど透明感がある。
オキナワアオガエル(Rhacophorus viridis)
路上に堂堂と鎮座していた。5cm程度まで近づいても逃げない剛胆な個体。
他にもリュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica)やハナサキガエル(Odorrana narina)もいたが、前者はなんとなく撮り忘れ、後者は撮る間もなく逃げられてしまった。
そして当然ヘビもいる。
ヒメハブ(Ovophis okinavensis)
30cmほどの個体。側溝の落ち葉をかき分けると出てきた。80cmほどの個体を以前見たことがあるが、太短い風貌はツチノコの想像図を彷彿とさせる代物であったことを強く記憶している。野外では会いたくないが、太さの際立った個体をまた見たい。
ハブ(Protobothrops flavoviridis)
路上を徘徊している所を発見。50cmに満たない。 非常に鮮やかな色と激しい気性は、亜熱帯の森に相応しく感じられる。
リュウキュウアオヘビ(Cycophiops semicarinatus)
道を横切っていた所を発見。80cmオーバーの成熟した個体のよう。ミミズ食で有名だが、一応カエルも食べなくは無いようだ。
アカマタ(Lycodon semicarinatus)
ちょっとビビっていたので焦点が微妙に合っていない。こちらも80cm程度だが、リュウキュウアオヘビよりも随分と細いので受ける印象が大きく違う。無毒と言えど気性が荒く、何度か噛みつかれかけた。
こっちは幼蛇。
ガラスヒバァ(Amphiesma pryeri)もいたのだが、写真を撮り忘れていた。
一番本命であったハイ(Sinomicrurus japonicus boettgeri)は残念ながら邂逅できなかった。だがチャンスはまだまだあるので諦めずに探していきたい。
沖縄散歩
一日暇だったので近所をぶらつきつつ、林の中の石を引っくり返したりなどしていた。
オキナワマドボタル(Pyrocoelia matsumurai)の幼虫だろうか?
中くらいのアフリカマイマイ(Achatina fulica)
殻は幾つもあったが殆どが空で、エピフラムが張っているのは初めてであった。
それとサツマゴキブリ(Opisthoplatia orientalis)とオガサワラゴキブリ属(Pycnoscelus)の一種。幼虫のみの為、オガサワラゴキブリ(Pycnoscelus surinamensis)なのかリュウキュウゴキブリ(Pycnoscelus ?????)なのかは不明。暫く飼育してみて、成虫が出てから判断したい。
こちらはまた後日改めて更新する。
アトロポス引越し
アトロポスドクロゴキブリ(Blaberus atropus)は引越しの常連と言える。体の大きさの割に殖える速度が尋常ではないのだ。流石は餌用に用いられるだけのことはある。
時間が無かったので作業風景は割愛。デュビア(Blaptica dubia)が入っていた衣装ケースを掃除し、ベアタンクに卵パックといういつものセットで仕切り直し。
餌をやると瞬く間に群がる。こちらは取り敢えず大きめの個体をザカザカ移動させた為、成虫が目立つ。
そしてこちらは溜まっていたマット部分を詰めたケース。一齢から三齢までのかなりの数が入っている。
広い環境は矢張り好影響を与えるようで、翅のよく伸びた新成虫が増えた。売りに出せる位である。
カブトガニローチとドミニカローチは何が違うのか。
現在飼育している
ドミニカローチ(Hemiblabera brunneri)
彼らによく似ている種としてカブトガニローチがいる。自分は飼っていないし、飼ったこともない。
今までなんとなく区別として感じていたのは
・ドミニカの方が大柄
・カブトガニの方が体に対して脚が長い
・カブトガニの方が縦長
・カブトガニの方が赤みが強い
というぼんやりとしたもの。しかしこれも疑わしくなってきた。
まず、基本的にGoogle検索で出てくる、様様なサイトに掲載されている「カブトガニローチ」と「ドミニカローチ」の写真では差異が見られない。
まあこれは昆虫に限らず良くあることで、一見全く同じに見えるのに体のある一部分がほんの少しだけ異なっていたり、或いは体の構造は全く同じなのに生態が異なっていたりする事例は頻繁に見つかる。
ただ現状そのような差異は感じられない。
また、基本的にカブトガニローチ/ゴキブリとされるゴキブリの学名がHemiblabera.spと表記されているのが目立つ。ドミニカローチも同様で、そもそも明確な種の判別が成されていないようだ。
では国外ではどうかというと、Hemiblabera属には基本的に
Hemiblabera brunneri
Hemiblabera tenebricosa
の二種が流通しているようだ。
それぞれの画像を調べてみると
Hemiblabera brunneri
https://www.biolib.cz/en/taxonimage/id185240/
Hemiblabera tenebricosa
https://www.biolib.cz/en/taxonimage/id227783/?taxonid=910548
…………??
正直な所、分からないというのが本音である。
まずこのサイトの信憑性自体確証が無いのだが、情報量の多さではネットのフリーサイトで得られるものとしてはトップだろう。ただ、画像がこれだけ、しかも片方は細部が見えるように撮影されていないという時点で区別は無理に近い。
挙句の果てには他に列挙されていたH.capucinaやH.granulata、H.pabulatorに至っては画像すら見つからない。これらに関して書かれたページは存在するので、まあ一応種として登録されているんじゃないの?程度。
ギリギリH.tristisはホロタイプ標本の画像が存在したが、それにした所でドミニカローチと比べて腹部節がややトゲトゲしている……かな?程度の差異である。
この辺りでもう諦めがついた。
結論:多分違う種なんだろうけどどっちがどっちかわからない!
根性でH.brunneriとH.tenebricosaの画像検索結果をじっくり見たところ、なんとなーく前者の方が赤みがかっているような気がする、ので、以降はH.brunneriをカブトガニローチ、H.tenebricosaをドミニカローチと呼ぶ事にする。あくまでもここだけのルール。
まあ趣味の範囲でなら混同しても仕方が無いし、こんなに似ているのだから仮に一番最初は区別されていたとしても最早現在流通している個体はほぼMIXだと考えるのが妥当なのではないか。
何よりこの状況を生み出しているのが現地ドミニカ共和国の輸出制限なのであって、もう学術研究として許可を得てワイルド個体を採集し、遺伝子レベルで検査する。そして国内に流通している種がどれに近いのかを検査するより他ないと思う。
取り敢えずこのブログに登場したHemiblabera属は全て「ドミニカローチ」で「Hemiblabera tenebricosa」という事にします。今までの表記も後後訂正していきます。
以上!