ポーセリン再挑戦
以前書いたこの記事
『ポーセリンローチ』
http://polipg.hatenablog.com/entry/2016/10/28/185057
実はこの後結局ポーセリン(Gyna lurida)は全滅しました。
飼育しているゴキブリの中ではかなりの古参種であったので非常に残念……何より、繁殖出来なかった等の理由では無く「飼育が簡単すぎる」為に世話の優先順位を落とし続けた結果が招いた故の全滅なので全部自分に責任がある。申し訳ない。
という訳で、二の轍を踏まない様に新たに気を引き締めて再挑戦。
幼虫15匹程を購入。
ケースには腐葉土を投入。
幼虫は壁を登らないため、まだワセリンは塗らない。
投入。
終わり。
EASY
今度はちゃんと累代飼育します。
帽子?
メロンを食べるドミニカローチ(Hemiblabera tenebricosa)。
気がついているのか、気がついた上で無視しているのか。
久久の高尾
凡そ一年ぶりに高尾山へと赴いた。
夜まで用事があった為、到着時点で既に23:00。駅には殆ど人はいない。
勿論ケーブルカーが動いているわけも無いので一号路から登っていく。
写真では全く写らなかったが、実はほぼ満月であり、開けた所なら無灯火でも足元が分かるくらい明るい。逆に灯火採集でこの条件はかなり厳しいと言える。
先ず始めに狙うのはヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)。彼らは山道沿いの湿った木の洞の中や幹の上を歩いている事が多い。
今回も容易く捕れる……と思いきや、何故か全く姿を見かけない。
やっと幹に動く影を発見!
と思ったら
マダラカマドウマ(Diestrammena japanica)
この幹だけで六匹確認した。何を狙っているのだろう。
幹で見かける生き物は専らマダラカマドウマとサワガニ(Geothelphusa dehaani)である。湿度と温度は申し分ないという証拠でもあるのに、しかしゴキブリの姿はない。
その後見かけた昆虫をダイジェスト気味に紹介する。
ウスバカミキリ (Megopis sinica)
最も個体数が多かった。
ノコギリカミキリ(Prionus insularis)
交尾したまま逃げていったため、確りと確認は出来ていない。もしかするとニセノコギリカミキリ(Prionus sejunctus)かもしれないが、もうこの写真では判別しようがない。
コノシタウマ(Diestrammena elegantissima)
心做しか、頂上に近づくにつれ増えるように思える。麓には殆どいない。
クワカミキリ(Apriona japonica)
二匹だけ見かけた。平地のカミキリだと思っていたが、案外山の方が多いのかもしれない。
カブトムシ(Allomyrina dichotoma)
どこからどうやって入ったのか甚だ疑問。因みにこの個体はかなり立派な雄。この後蓋を外して逃がした。
段段と「色んな昆虫の観察」に行動がシフトし始めた頃、漸くお目当てのムシに出会えた。
ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)
大きめなナナフシモドキ(Baculum irregulariterdentatum )とツーショット。
どこも欠けていない綺麗な雌成虫だったので捕獲。
この後すぐに幹を歩く幼虫も発見。
最終的に雌成虫だけを三匹捕まえた。
雄成虫は一匹も見かけていない。これは去年も、一昨年も同様で、ヤマトゴキブリの雄成虫は他のPeriplaneta属の雄に比べると数が少ない印象を受ける。
飼育下に置いても雌の割合が高いので、恐らくこの種に共通する特徴なのだろう。
三時間ほど歩いて一先ず終了。
登ってみると案外採集者がおり、一時間で7、8人ほどとすれ違った。ヨコヤマヒゲナガカミキリ(Dolichoprosopus yokoyamai)狙いの人が多く、採集できたという方に生体を見せてもらった。
当たり前の話だが図鑑や標本で見た姿と同じであり、正直な所、あくまでも見た目に限れば特別このカミキリが優遇される理由はあまり感じられなかった。(これを読んだカミキリ好きの方が気分を害されたら申し訳ない)
ただ、採集出来た喜びや興奮を隠さずに語る気持ちは、採集者として非常に理解できる。
そもそもゴキブリを捕まえてニヤニヤするような変人が何を言うのかという話であるけれど。
因みにこの後帰路で無事オオゴキブリ(Panesthia angustipennis)も採集出来た。
ただ、喜びのあまりその時に写真を撮るのをすっかり失念してしまっていた為、彼らの紹介はまた後日。
他にも少し気になった虫を採集してきたので、それも後日更新します。
午前三時前に下山すると、流石に駅の電気は消えていた。
幽霊の引越し
ユウレイゴキブリ(Eublaberus posticus)
明らかに手狭。
ストレスか、或いはいじめのようなものなのかある一匹が集中的に翅を齧られている。他の個体も、無傷のものはいない。
また、上の写真でも少し映り込んでいるが幼虫が殖えてきた。
小さいと3mmほど。大きいものでは既に10mm近くまで育っている。
という訳で前前からやろうやろうと思うも中中実行できなかった、ケースの拡張を行う。
とは言っても他のゴキブリ同様やる事は変わらない。
無添加腐葉土を敷く。彼らは潜るものの積極的に食べはしないので2cmほどで充分。あまり深いと黴や小蠅の発生源になり得る。
腐葉土は安い・多い・汎用性が高いと三拍子揃った万能マットだが、それだけにちゃんと農薬や肥料が混ざっておらず、程よく葉が残っているものを吟味する必要がある。もし駄目でも大損するような値段はしないので、まずは買ってみてパッチワークテストのように何種かのゴキブリで試験的に飼育し、それから決めると良い。
さて、後はシェルターごと移して終わりである。彼らは飛ばない上に壁も登らず、また比較的大人しいので非常に掃除が楽だ。今回は幼虫も多いので床材ごと全部入れる。
昆虫ゼリーと人参の皮を入れると忽ち食べに来た。
虹色のムシ
キラリ光る顔。
ヤマトタマムシ(Chrysochroa fulgidissima)だ。
昼に低空をフラフラと飛んでいる所を捕まえた。
タマムシは褥盤が発達している為、ツルツルとしたプラスチックの壁面も登ることが出来る。ゴキブリにも壁を登るものは多いが、その多くは爪間盤といってやや位置が違う。
この個体はどうやら雌らしく、体が重いのかあまり登るのは上手ではないようだった。
タマムシは他の虫に比べ圧倒的に力が弱いように思える。鉤爪を立てることもなく掴めばあえなく捕獲され、飛ぶのもそんなに上手ではなく、勿論角や針は持っていない。
そんな彼らが然し自然界で生き延びているのは矢張りこの虹色の光沢のお陰であろう。
その特徴的な姿はいつ見ても心奪われる。
井伏鱒二の『玉虫を見る』の主人公が、この虫を特別視したのも頷ける。
グロウスポット再び床替え
グロウスポットローチ(Lucihormetica verrucosa)があまりにも窮屈なので床替えを行った。
記事を見ると丁度前回の床替えから2ヶ月。早すぎる気がするが、既に前回の時点で狭かったという事だろう。仔が生まれたのも想定外であった。
床替えの準備。今回はケースを二つに増やす。
右上のタッパは一時的に隔離するための容器。
その為、脱走防止用にワセリンを縁に塗っておく。
ちなみに今はこのような状態。潜ってばかりいる彼らがこんなに地表で屯っている時点でかなり狭いのだろう。
幼虫が潜んでいる朽木ごとケースへ移す。成虫は27匹確認できた。
後は流れ作業。
元の床材を分割し、
クワガタの成虫用端材マットと混ぜ、
平に均す。
朽木をそれぞれ入れてマットを被せ、
生体投入。
瞬く間に潜り込んで固めたマットの上に部屋を作っている。
最後に桃の皮を入れて終わり。幼虫の大半が右のケースにいるため、成虫は左のケースの方をやや多めにしている。
余程腹が減っていたのか与えた側から齧り出す雌。